梅雨、死す。
夏の日差しがアスファルトを熱し、都市の街路に蜃気楼を生んでいる。
今年も夏が来た。
500mlのペットボトルが、あっという間に空になる季節が来た。
しかし、あまりにも早い夏の訪れに体の方は準備不足と言わざるを得ない。
汗が思うほど出ないのである。
明らかに体が夏を忘れている。
不健康なまでに冷房に頼り切りの生活が、いつかの夏のわんぱく小僧を惰弱漢に変えた。
汗腺が弱って熱が篭りやすいのか、それとも暑さを感じる許容値がだいぶ厳しくなってしまったのだろうか。
むしろ体内自体がヒーターのように熱を発しているような気さえしてくる。
幻である。
暑いのは外。熱いのも外。
思えば、ここ数年は炎天下に何かをした思い出がない。
コロナ禍と化して二年間という月日は、体質を変えてしまうにはあまりに十分すぎる時間だったということだろう。
健全な肉体を放棄して、蓄えたのは幾許かの銭袋と脂肪のみ。
ところがどっこい、これが現実。
ああ、今日も暑い。