透明日記@99℃

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羊たちの沈黙(1990)

名作と名高い羊たちの沈黙を観ました。

簡単なあらすじとしては、

FBI捜査官候補である主人公が世間を賑わすシリルキラーを逮捕するため、

投獄されている高知能なサイコパス精神科医ハンニバル・レクター教授と協力し事件解決を目指すストーリーでしょうか。

 

やはり名作と名高いだけあり、演出部分や構成、セリフ回しは一級品。

細部にまで深いこだわりを見つけられた味わい深い作品でした。

満足度 100

キャラの魅力 120

納得度 100

ーーー以下ネタバレあり感想ーーー

 

場面転換とカメラワークが上手すぎる。

 

この物語には下記の通り、動物のモチーフが多く登場し、各キャラクターと結びついているように感じる。

早速だがそれぞれに焦点を当てていきたいと思う。

  • 羊 

 

タイトルの一部にもなっている動物、羊。

主人公、クラリスの過去に関わる生き物だが、同時にクラリス本人を象徴している生き物であるるように思える。

羊の特徴を考えてみると、非常に臆病な家畜であり牧人や牧羊犬に従順な性質を持っている。

クラリスの述懐にある通り、牧場主に狩られるなか出口が開いていても逃げようとしなかった。

 

劇中での役割としては、ハンニバルとの問答にもある通りである。

クラリスは過去に助けられなかった子羊を、これから殺されようとしている被害者のキャサリンと重ね合わせている。だが、気になるのはタイトルが羊"たち"の沈黙である点だ。

複数形なのはどうしてだろう。羊すなわち被害者がキャサリン単体の象徴であれば単数系として扱われるはずである。

では、なぜか。それはラストに明かされる。ハンニバルの問いかけだ。

クラリス、子羊たちは泣き止んだか」

沈黙している羊とは誰なのか。

いまだ水面下の被害者たちか、それとも狩りとられるのを待つ市井の人々か。

それともあの日に見捨てた自身の過去の咆哮だろうか。

誘拐された娘キャサリンの飼っていた猫、家主の帰宅を見守ってくれる。かわいい。

最初に誘拐された被害者の家にもいた。

 

バッファロー・ビルが飼ってるプードル。

かわいい。

犬種の選択が男性的でないのも特徴。

 

蛾・蝶

物語の中で蛾と蝶は、似たものとして扱われながらも、決定的に違うものとして描かれている。

 

まず、第一にハンニバルクラリスの二度目の問答場面にて、ハンニバルは死体に詰め込まれた蛹は蝶ではないかと推測した。

実際には蛾だったわけだが、変身のメタファーとして芋虫から蛹へ、そして羽が生えるという変身への憧れを指摘していた点は同じである。

 

そして、もう一つの特徴として蛾は夜行性だということ。

終盤、バッファロー・ビルは暗視ゴーグルで闇の中で戸惑うクラリスを観察しながら手にかけようとする。しかし、クラリスの弾丸がもたらした光に目が眩み、反撃に遭いあえなく御陀仏。

犯人は結局のところ、蝶に焦がれつつも紛い物の蛾にしかなれなかった。光を浴びては生きられない生き物だった。

蛾を選んだ時点で、自身の変身願望が中途半端なものでしかないことを自覚しているともいえる。

光が差し込んだ室内には蝶のオブジェが輝いていた。それは彼の逃れえぬ憧れの象徴だったのであろうか。